2017年5月24日仙台空港→仁川空港

旅行の直前(家を出る30〜1時間前)に突然行きたくなくなる症状に名前はあるんだろうか。
本屋でトイレに行きたくなるよりも深刻な病だと思う。
今朝もそうだった。準備をしながら、キャンセル料が2万円かかるというところまで調べた。
けれども家を一歩出れば、気持ちはもう旅先に向かう。今はとても楽しみだ。

飛行機は隣が空席でラッキーだった。とにかく寝たかったのだが、3月で退職して電車の長距離通勤から解放されてから、ちょっとした移動に便利なサイズの小さい睡眠を摂る術を、体は忘れてしまっていた。それはいいことでもある。労働の記憶はいらない。


テレビが何席かおきにぶら下がっている飛行機で、延々と海外の面白動画(ホームビデオみたいなやつ)が流れていた。クソつまらんな、とため息を吐こうとしたところでちょっと面白いのを見てしまい、油断から「ンフッ」と漏らしてしまった。それからはできるだけ画面を見ないように努めた。
気流が乱れると、テレビは面白動画を中断して、高度や外気温度を知らせた。外気はマイナス40度らしかった。
機内食を食べたらうとうとしてきて、まどろみながら太陽に近づくほど寒くなることを不思議に思った。
機体が揺れて目を覚まし、窓を開けると飛行機雲が見えた。飛行機から飛行機雲が見えるものなのかと感心したが、よく見たら飛行機雲ではなくて、海の上を進む船だった。
2時間はあっという間だった。
乗り継ぎまで、あと3時間ある。