2019年1月19日 香港1日目

世界ふれあい街歩き香港回を見たのはもう2年前だから、行動にうつすのに2年もかかってしまった。しばらく香港のことを忘れていたわけだが、去年の暮れに「大同電鍋」という台湾の家電を購入したことがきっかけで中国の料理に興味が出、冬は寒いし仕事も辞めることだし、なんとかどこかに行けないものかと思ったところで、香港のことを思い出した。


ウォン・カーウァイの映画「恋する惑星」の影響で、どうせ泊まるなら重慶大厦でしょ、と宿を予約。念のため「22:00に空港に着くのでチェックインは深夜です」とメッセージを送ったところ「承知しました」と返ってきた。


香港国際空港で、日本円一万円を香港ドルに両替し、オクトパスカードというSuicaみたいな交通カードを買い、市内行きのバスを探す。駅近くにいた係員のおばさんにガイドブックの地図を見せると「字が小さくて見えない」とあしらわれ、めげずに「ネイサンロード」と心配な発音で言うと、「あぁ、それなら20か21のバスに乗りな」とバス停を指された。バスはすぐにきた。二階建てのバスの中は無料Wi-Fiがあり、マップを開いてなんとなく地理をつかめた。念のため、今後のために持ってきたメモ帳いっぱいに大きく「重慶大厦」と書いた。一階に降りるとバス停留所の案内のモニターがあり、ネイサンロードのバス停で降りると重慶大厦まで徒歩1分もかからなかった。霧雨が降っていた。
エレベーターは棟ごとに分かれており、A棟は大行列だった。働いているのかなんなのかわからないインドっぽい人やアフリカ系の黒人で一階は溢れていた。
ゲストハウスにつくと、受付前のベンチにアフリカ系黒人、受付も黒人でめちゃくちゃにビビった。受付の人から「○○さんですか?」と聞かれ「そうです」と言うと「遅いじゃないですか。22時って言ってたのに」と言われたので「22時に空港って送ったはずです」と返したら「あ〜そういうことですか」と流してくれた。受付の人は黒人だったので最初はビビってしまったが、喋り方がめちゃ丁寧(英語はあまりわからないけどそれが伝わるくらい、そう、ジョン・ウィックのコンチネンタルホテルの受付の人みたいな喋り方)だった。
受付前の部屋からインド系?のおじさんが出てきて、鍵の掛け方がわからないと言うと、受付の人が「さっき説明しましたよね」とドアの内側のボタンをポチッと押してそのまま閉めた。インド系のおじさんは「あーそうだったそうだった。ところで鍵は中にあるんだ」と照れながら言い、受付はうんざりしたようにマスターキーで鍵を開けていた。インド系のおじさんは「ところでカップはどこだっけ?」とさらに聞き、受付はさらにうんざりしたように紙コップを渡した。インドのおじさんはまた「そうだったそうだったコーヒーはどこかな」とにこにこしながら流しに向かった。
「お待たせしました」と受付の人はこちらに取り掛かり、チェックインにパスポートを出すと、おじさんが入った流しからガシャーンドカン!みたいな紙コップを持って消えたとは思えない音がして、また受付の人が世話をしに行った。
戻ってきた受付に宿泊費700ドルは現金で払えと言われ、両替した分では足りないので明日払いたいと伝えると、「じゃあ払える分は今払って、残りは明日。払うまでパスポートはこちらで預かるからこのコピーを持っているように」と裏紙に印刷したパスポートのコピーをくれた。するとまたインドのおじさんが出てきて、「今から出かけるから入り口の出入りをもう一度教えてくれ」と割り込んできて、カードキーの使い方を習っていた。
受付前のソファで踏ん反り返っていた黒人(こちらはコンチネンタルホテルというよりはヒップホップやってそうなかんじ)が「あんたどこの人?」と聞いてきて「日本。そっちは?」と返すと「ダナ」。(そんな国あるか?街の名前か?)となって「ごめん、それ国の名前?」と聞くと「国の名前。チョコレートで有名なところ」と言われ「ああ!ガーナ!」「そう」「いいところ?」「うん。でも家族に会いたいな」「そっか」
受付の人に鍵を渡され、使い方を説明しようとしたので「さっき見てたからわかった」と言うと「そりゃそうだ」と部屋に案内してくれた。個室を予約してきたが、ツインでベッドが二台あり、ここは広いから明日部屋を変えると言われたので、明日って明日の何時?と聞くと「明日朝早いんですか?」と聞かれたので、午前中には出たい、と答えると「じゃあ11時前にはフロントにいるから」と言われた。それでは遅いと思ったが、空腹だし早く落ち着きたかったので了解した。


宿のレビューに日本語で、「ユニットバスだがトイレにシャワーがついてる状態なので便座がびしょびしょになる」という辛口の評価があったが、お前は一体いくら払ったんだと言いたい。ケツが濡れたら拭けと思うし、それが嫌ならもっといいところに泊まればいい。


開け放たれていた窓を半分閉め、荷解きをしながらCalifornia Dreamin’をエンドレスで聴いた。受付で聞いたWi-Fiが繋がらなかったのでもう一度聞いたらすぐに繋がった。
宿代を払えるだけ払ったのであまり手持ちがなく、向かいの露店でインスタント麺に魚肉ミートボールをのせただけのしょぼい飯を買い、重慶大厦一階のひしめく売店でビールと水を買った。店員のインド人に「香港のビールってある?」と聞くと「これ香港ビール」とカールスバーグを指され、そんなわけないだろと思いながらもくたびれていたのでそれでいいことにした。