2017年12月16日 仙台→広島

5時に起きる予定だったが、5:40になっても布団から出られなかった。もう陸路で向かうことを考え始める。でもそんなお金はない。一緒に行く友人から、寝坊してしまったので何もかも厭になってしまった、という電話。予定の電車を変え、離陸25分前に空港に着くという挑発的なプランに変更した。
前日の職場の昼休みに、銀行で新札を手に入れるというミッションがあったのだが、やよい軒でおかわりをしているうちに昼休みが終わってしまい、ミッションは失敗に終わった。けれども友人がセブン銀行の口座を持っているので、コンビニのATMで新札を引き出してもらうことにした。
なんとか2人で仙台空港に到着。北海道は天気が荒れているというアナウンス。チケットカウンターにて、隣のおじさんが、「千歳に着陸できない場合、そのまま仙台空港に戻るのですがご了承いただけますか?」と言われていた。「万が一千歳から戻ってきた場合、仙台から那覇行きに乗ることはできますか?」とさらに聞いていた。一日で国の端から端まで移動しなければならない人もいるのだ。もしくは西村京太郎も真っ青の飛行機時刻表トリックか。
笹かまの禁断症状が出てきたので、キオスクで大漁旗を購入。市内で売っている紙の包み紙に入ったものではなく、真空パックになっていた。賞味期限を伸ばすためなら、おいしさを切り捨てるという製造者の覚悟が見える。空港の食べ物は、保存期間が長いほど強い。
ANAに乗ると座席に置いてある「翼の王国」という雑誌が大好きだ。これから旅に出る(帰る人もいるが)人にすら、旅欲を刺激する罪な雑誌だと思う。中の写真も文章もとても良い。

広島の人々というのは、あんまり人懐っこくないけれど、話しかけるとなかなかユーモラスに返してくれる。路面電車に乗車する際、なかなか強面の駅員さんに、切符はいつ買うのか尋ねると「降りるときに運賃を払うよ。俺たちはケチだからぴったり払わないとおつりはあげないんだ。おつりがほしかったら先に両替してね(車内にも両替機はあるよ)」と仁義なき戦いでしかろくに知らない広島弁で答えてくれた。男性も女性もナチュラルに「〜じゃけぇ」と言う。

その後は結婚式。こぢんまりしてなかなか素敵だった。ガラス張りだが木に囲まれていて、開放感とプライバシーが両立していた。「牧師です」と自己紹介をした牧師さんが、聖書を引用しながら愛について説くのを聞きながら、そんなに最強かな?などと思ったが、「愛」の部分を「シャブ」に変換するとすんなり飲み込むことができ、それはあまりに深く心に突き刺さった。信仰をもたない人間には、愛よりシャブが効くかもしれない?
披露宴にてビールを飲んでいたら、注ぎにくるのが面倒になったのか、私の前にだけ瓶ごと置かれてしまった。あと普段は絶対口にしないようなステーキも、赤ワインと一緒だと残さず食べられた。
その後二次会。見知らぬおじいさんたちがとにかくうれしそうだったのがよかった。親類が少ないので、たくさんの老人に囲まれる機会というのはほぼない。老人というのは、話を聞かず店員に暴言を吐き散らかす邪悪な存在だと思っていたが、ろくに生まれた広島を出ることもなく、真面目に生きて、孫のちょっと遅めな結婚を喜ぶような温かな老人もいるのだ。